「東大の紹介、そして志望校についてよく考えること」 | 東進ハイスクール 成城学園前駅校 大学受験の予備校・塾|東京都

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2022年 7月 25日 「東大の紹介、そして志望校についてよく考えること」

こんにちは、東進ハイスクール担任助手4年の釜田です。今日は、大学紹介企画の一環として僕の通っている東京大学についてご紹介したいと思います。

 

東京大学というと〇〇方程式であるとか〇〇王とかいろいろとテレビのイメージがありますよね、かく言う僕も1年生の五月祭のとき、セットだか寝癖だかわからないボサボサの髪の毛で、変なデザインTシャツを着て文学サークルの同人誌の売り子をやっていたら某方程式の方に呼び止められ、取材させてもらえないかということで赤門の前でお受けしたのですが、気の利いたことも言えず、これといった特技もなく、無事お蔵入りしたことを覚えております。ああいった取材ですぐに衆人の目を惹く芸当を披露できる人は本当にすごいと思います。

 

こう言った番組は好きで僕も受験生時代よく見ていたのですが、実の所入ってみれば変人奇人の巣窟というわけでも、飛び抜けた天才集団という感じでもありません。さしずめちょっと頭の回転が速くて真面目な人の集まり、という感じでしょうか。(まあでも尊敬できるすごい人がクラスとかサークルとか身の回りに必ず一人二人はいる、ということくらいは確言できると思います。)あれはTV番組ですから、面白いのは大事なのですが、いざ目指すときに高3の受験生になってあの手の番組で得たような話しか東大のことを知らないとなると、それは少しいかがなものか、とも思うのでここではより、実践的な東大の肖像について、受験で東大を志望するということは、すなわちどのようなことであるのかについて、整理してお伝えしたいと思います。低学年の皆さんも夏に志望校についてよく考える上での材料に知ってください。

 

 

まず、東大への志望動機としては次のように分けられることでしょう。すなわち、①東大というネームバリューへの憧れ②進振り制度③充実した教育、といったところです。これらは排反事象として整理できるわけではなく、少しずつ3つの要素を混ぜ合わせたのが各人の志望動機なのだろうと思います。

 

 

まず①については言わずと知れたことかと思います。やっぱり一番頭がいい大学と世間的に言われているのは事実ですし、親戚が入ればちょっとした自慢話になる、というのはよく聞く話です。そして、何より就職するときにずいぶん役に立つそうです。(私は院進予定なので伝え聞いたことですが。)これを志望動機にするのは悪いことではありません、名前というものが役に立つ場面も人生では多いことでしょうし、名前があるからこそ目指すモチベーションになるものです。

 

 

次に、②についてですが、「進振り」というものについて皆さんご存知でしょうか?進振り、というのは「進学振り分け」の略称です。これは何かというと、まずみなさんが東大に入ると、全員教養学部に入学することになります。教養学部の授業は文科と理科ではかなり異なりますが、その中の文Ⅰ文Ⅱ文Ⅲなどの間ではさしたる違いはありません。語学が3学期の中で一コマ多いとか少ないとか、政治系を少し多く取るとか取らないとかそんな程度です。文系なら英語、第二外国語、情報、体育、諸年次ゼミとその他自由科目をとる、という感じです。では何が違うかといえば、2年生の夏までの成績で希望の学科に申し込む進振りでの各専修学部(法学部とか経済学部とか)への行きやすさが違うのです。文Ⅰは法学部へ圧倒的に行きやすく、文Ⅱは経済学部に何もせずとも入れ、文Ⅲはどこにいくにも不利、といった様相です。ただ中には文Ⅲから医学部に行くような猛者もいますから、各々の頑張り次第で行く学科を決められるわけですね。そして、2年生の夏学期まで勉強したことを踏まえて深めたい学びを決められるので、やりたいことがきっちり固まってない人にはとても良い制度だと思います。

 

 

最後に③についてですが、これも有名な話かと思います。なんでも我が国の国土の0.1%は東大の敷地だそうです。各地の大学からヘッドハンティングして集めた教授陣は皆学術的に何か成果を残している先生であり、教養・文・経済・法・教育・理・工・農・薬・医の10個の学部には超ひも理論にスポーツ科学からフランス現代思想、軍事安全保障に至るまであらゆる分野の専門家が在籍し、彼らによる最先端の教育を国立大学の学費で受けられるわけです。とてもお得です。どんな分野に興味を持っている学生でも、学部生の間は必ず興味に一致する学びを得られること間違いなしだと思います。

 

 

さて、ここまでずいぶん手前味噌というか、よく自分の大学をそんなに褒められるな、謙遜というものはないのかとお叱りを受けそうなことをつれづれと語りましたが、ここからが本題です。それぞれの志望動機には、それぞれ盲点が隠れているものです。志望校を決めるときにはとにかく熟考することが大事です。東大を志望している方は自分の動機がどれに当てはまるかよく自己分析した上で読んでください。

 

 

 まず、ネームバリューを志望動機にしている生徒に考えて欲しいのは、自分が大学で何をしたいか、ということです。大学に何を求めるのか、ということでもあります。ネームバリューを動機にしていると、入った瞬間に全ての欲求が満たされ、それ以上やる気を維持するものが無くなってしまいます。ですから、受験生の頃から何をやりたくてその大学を目指すのかについて考えておくことは非常に重要です。例えば東大であれば、上にも書いたように、勉強するにはもってこいの環境です。だから、もう学びたいことが決まっている人にとってはとても良い場所だと思います。では部活をやりたい人にとってはどうなのか、「大学生は人生の夏休み」という格言?甘言?がありますが、そういった遊んで、騒いで、というモラトリアム的な生を謳歌したい人にとってはどうなのか、というと、東大が一番とは言えなくなってくると思います。勉強してないと3年生から行きたい学部に行けません。なんだかんだ周囲の東大生は勉強好きなので、学問に興味がないと入った後で自分だけやりたいことが無くて孤独を覚えるかもしれません。

 

 

そんなこと言ったってネームバリューのある大学は就職がいいのだから、自分は東大経済学部に入って……みたいなことを言う人もいますが、別に東大は就職に一番有利な大学かというとそう言うわけではありません。早稲田や慶応の方が統計的には有利だった気もします。そして、学部程度の知識によって就職先への行きやすさが大きく変わるなんてことはそうそうありません。例えば経済学部で古典経済学の思想史を研究している人と文学部でドイツ文学を研究している人の就職率はきっと大差ないことでしょう。むしろ、周囲の同級生をみる限り、自分の意見や人柄をはっきり上手くプレゼンできるかどうかとか、そういったことで決まっているように思われます。

 

 

 要するに、いくら名前を求めたところで、最終的にはその中身が問題になるということです。なので、名前への期待と中身への期待をきっちり分けて自分のやりたいことが本当に東大で実現できるのか、よく考えておく必要があるでしょう。

 

 

 次に、進振りは一見魅力的な精度に見えますが、欠点もあります。これは既にやりたい勉強が確立している人にとっての欠点です。進振りの志望学科への学生の振り分けは基本的に成績順で行われます。そうすると、一部の人気の高い学部学科に入るためには恐ろしい点数が要求されることもあります。例えば理Ⅲ以外から医学部に行こうとすると平均して定期試験で90点近く取らなければなりません。これは極端な例ですが、他にも外交官志望の集まる教養学部の国際関係論コースは概ね83点以上が要求されるそうです。この定期試験は英語など基礎科目の比率も高く、その学科に興味があっても入れない人も出てくるかと思います。どうしてもその学問がやりたければ進振りのない他の大学を考えるのはありだと思います。もちろん、上にあげたのは数少ない例なので、例えば経済学部に行きたければ最初から文Ⅱに出願することで進振りを問題なくクリアすることも可能でしょう。しかし進振りは万能ではない、ということは知っておいた方がいいと思います。

 

 

 最後に、充実した教育については、腐すところなどほとんどないのですが、それでも言えることはあります。東大は総合点で言えばもちろん、ものすごく充実した大学だと思います。ただ、それぞれのパラメーターで一番の大学かと言えばそんなことはありません。例えば留学生の受け入れや留学支援などの国際性はそんなに高くないです。他にも、少人数のゼミ制は学部によってはあると思いますが、法学部なんかは大教室での講義が多い印象を受けます。自分の学びたい学問の有名な先生が必ずしも東大にいないこともありますよね。そうするとベストとは言えなくなってくると思います。

 

 

 さて、ここまで色々と語りましたが、要するに、よく自分のやりたいことを考えてそれが本当に東大で実現できるのかしっかり考えて欲しい、ということです。そしてこれは必ずしも東大に限った話ではありません。それぞれの志望大学で何ができるのか、何を期待して行くのか、しっかり考えておくに越したことはないと思います。これからの夏休みを、自分の志望大学について調べて考える機会にしてもらえれば幸いです。